江戸のセンス

江戸のセンス ――職人の遊びと洒落心 (集英社新書)

江戸のセンス ――職人の遊びと洒落心 (集英社新書)

粋ってなに?なんでその柄がイケてるの?昔の人はなんで円周率も知らないのに綺麗な丸が描けるの?謎が多いけど、魅力を感じる江戸のデザイン(昔のデザイン)、その謎の一部が語られていたのがこの本「江戸のセンス」でした。


職人のこだわりとロマンと想像力、遊び心にいたずら心、引出しの数、日本独自で発展した文化が産んだもの、それが江戸のデザインでした。・・・っていたって普通な感じですが、豊富な図や写真をもって様々な技術やセンスを紹介してくれていたので、それをより深く感じることができる本でした。センスを見て盗めます。


特に、前半の「のぞき」や「見立て」という技法が表現する美的センスや発想力、「さしがね」や「ぶんまわし(コンパス)」を用いた文様を作成する技術には目から鱗でした。「紗綾柄 - Google 検索」や「亀甲柄 - Google 検索」、様々な家紋の図形なんて昔の人はどうやって描いていたんだろう?って感じでしたし。


歴史的な背景からではなく、伝統的な職人の気質とかこだわりから江戸のセンスを読み取ることができる本でしたが、語り手である扇子職人、荒井修さん自身の想像力や遊び心の語りは、江戸のセンスっぽいけど江戸のセンスとして根拠があるのか、たまに分からなかったりします。主観によるセンスを語られても説得力がないという感じでしょうか。
しかし、そのあたりはとやかく言わず、受け入れてしまうのがいいんでしょうね。
きっと江戸のセンスはそうやって永らえてきたはずです。そして、守るところは守りつつ、継ぐ人のセンスが加味されながら、発展してきたんだと思います。